HOUSE-Y|にらめっこ

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HOUSE-Yの工事見積が上がってきました。

通常、1社に絞らず、性質の違う3~5社程度の施工業者に見積を依頼し、相見積をします。今回は3社に見積依頼をしました。

見積が上がってきてから数日間は見積書との〝にらめっこ〟が始まります。単価が適切なのか、数量は間違っていないか、項目に抜けがないか等のチェック作業をします。まず、それぞれの施工業者でバラバラに入れてきている項目を比較できるように全社、全項目をエクセルデータに落とし込み直し、事務所オリジナルの比較表を作成します。そうすることにより何にどれ程の金額が掛っているのか、他社と比較して単価や数量の差がどうなっているのか整理することができます。次に数量の確認をする為、自分で面積等を拾い直し、単価が適切なのかを確認する為〝積算資料〟と言う全国の平均単価が記載されている本を1項目ずつチェックをし…。正直、骨の折れる作業です。しかし、非常に大切な作業なのです。

施工業者を信用してしまえばそれまでの話なのですが、施工業者も人間です。手違いをすることもあります。ましてや、1棟の住宅に掛る全ての数量や項目を整理して金額を出すのですから、その作業量は膨大なものになります。しかも、元請施工業者だけでそれを担うのではなく、各部門の下請業者に見積依頼をし、それを集計する作業をしています。時間をいくらでも使って良いのなら手違いも少ないと思いますが、それを3週間程度でまとめ上げ、提示しなければなりません。多かれ少なかれミスは発生します。それらをチェックする事は設計事務所の責務です。場合によっては100万程の減額がされる事もあります。クライアントから支払われる設計料の何割分かに相当する金額が減額されることもあるわけですから、設計事務所の存在意義を示す大事な部分であると感じています。そうした地道な作業の末、適切な単価と数量で、適切な金額の住宅の提供が可能になります。

設計部と施工部が同じ社内にあるハウスメーカー等(いわゆる〝設計施工〟とうたっている会社)がチェックをしていないとは勿論言いませんし、適切な数量や価格でないとは勿論言いません。しかし、ハウスメーカー等の坪単価には営業経費や広告宣伝費等も含まれていることは事実です。それに対し、設計事務所と施工業者は利害関係の無い第三者同士です。何かのマージンが掛ることもなく、掛るお金は、設計の人件費・工事の材料費・工事の人件費だけです。シンプルで純粋なお金の掛り方をしていると私は解釈しています。設計と施工が分離していることはお互いに監視できる関係性であるとも言えます。見積金額や現場の不備、又、設計の不備等を指摘し合うことができる。それも設計事務所のメリットの一つだと言えるのではないでしょうか。