日本の家展|体温のある設計

先日、東京国立近代美術館で開催されている「日本の家展」を拝見してきました。

この展覧会では、1945年以降から現在までの名だたる有名住宅の図面、模型、写真、映像等が400点以上展示されています。公私共に住宅好きの私。終始興奮気味。やや動悸もしました。おこがましい話ながら、自分の思想との重なりも幾つか感じられた気もしました。〝別世界の人達〟と考えると悔しいですし、都合が悪いので〝同じビルの遥か上階にいる人達〟と解釈することにしました。自分もいつか。

建築家達が手掛けた住宅を眺めていると、現在の住宅事情について、尚更、考えさせられてしまいます。

規格化・効率化・標準化を図り、量産的・商業的に多くの住宅が作り上げられている現状。それは、ニーズであり、流れなので決して否定はできません。しかし、体温がある人間が住まうのが住宅です。体温のある設計をするべきだと思うのです。私も仕事をすれば勿論、お金は頂きます。しかし、お金を優先的には考えていません。優先するべきは〝人〟だと考えています。その家族の為に、その町並みの為に何ができるかを最優先事項だと考えて設計を行っています。

何帖の部屋が何部屋必要かを問い、標準仕様を設け、カタログ的に素材や設備を選択し、それらを平面的、立面的、断面的に組み合わせる。大半の住宅は、そのように作り上げられています。言葉は悪いかもしれませんが、3Dパズルのように感じてしまいます。仮に3Dパズルだとしてもそのピースから考えるのが住宅設計の在り方だと思うのです。

私は〝後悔のない家造り〟を皆さんにしてほしいと思っています。しかし、それがイコール〝設計事務所に依頼すること〟だとは思っていません。住宅の考え方に正解はありません。価値観の問題ですから。注文住宅でも規格住宅でも建売住宅でも「この家最高!」と思えれば、それが正解だと思っています。

だだ、その選択肢の一つとして設計事務所が入ってこないことは多くあります。また、設計事務所がどのようなことをしているのか、どのようなことを考えているのかもあまり認知されていません。もっと間口を広げ、敷居を下げた体制で事務所を構え、皆さんに認知して貰えるようにこれからも努力していきたいと思います。